リンゴとミカンの事情

「ミカン」

目の前にミカンの笑顔が見えた。


「すっげー怖かったんだからな」

「ごめん」

「口で言えよ」

「口で言ってもお前、分かんねぇだろ」

「ケーキ食いたい」

「おごるよ」


いつもの会話が戻って来た。


でも肝心の返事を聞いていない。



「なぁ、ミカン」

「返事聞いてねぇよ」

「オレのファーストキスあげたのにわかんねぇ?」


ファーストキス…

そう考えると、急に顔が熱くなってきた。