そのとき、全てが動きだした。


止まっていた車は走りだし、飛行機は空をゆっくりと飛び、星が瞬いている。


「時間が……動きだしたみたいやな。雪江さん、とりあえず病院に行きましょう。このままやと、二人ともヤバイです」


「そうね」


健と雪江はフラフラと外に出た。そのときだった。


「血……血が欲しい……」


そこには包丁を握り締めた、血まみれの男が立っていた。


「え?!何やお前!」


「健君、避けて!」


男は包丁を健に向かって突いた。


健は紙一重で避けた。雪江は隙をつき、男を投げ飛ばした。


「ぐっ……」


その衝撃に、雪江の傷口が少し開く。


「雪江さん!大丈夫ですか!」


「健君、急いで!」


「ダメです……走れません……」


「ゆっくりでいいから!」