とりあえず、時の時計をポケットから出した。


「これ、何か意味あるかも……」


健は時計を裏返した。


「……あれ?」


時計にはふたがついていた。


「何これ?他の時計にはフタなんかついてなかったぞ?」


ふたを開けると、そこには電池が入っていた。


「あれ、どういうことや……」


……まさか、この時計は偽物?


そう言えば、弘満は、誰が時間を操っているのかわからないと言っていた。


もしこれが本当なら、真犯人がいるはずだ。


「この時計は時間を進めることしかできへん……操ることなんかできへん……」


やはり、真犯人はいる。


そう確信した健は、ここでこうしていても仕方がないのでとりあえず駅の外に出た。


外も、全てが止まっていた。自転車に乗っている少年や、手をつないで歩いているカップルがいる。


まるで模型の中に来たみたいだ。