人の数だけ生き方がある。

(故)美空ひばりさんの代表作である『川の流れのように』で歌われているように人生を川の流れに喩えるなら、人の生きる道は時に緩やかで、時に激しい。分断されることもある。

だが、流れのない川はない。

だからこそ過去の一つの過ちや失敗を悔み続け自分を見失うよりも、過去の輝かしい実績を鼻にかけて慢心するよりも、今あるものを見つめ、流れにのることが大切だと思う。

例えそれが他人から受けた何かがきっかけであっても、構わないと思う。ただ、自分から歩き出せるのであれば。

この小説の主人公であるトモは、それに気づいてからストリートミュージシャンとしての道を歩み始める。今はまだJR盛岡駅前で夜な夜な歌っているだけのトモだが、これからどんな人と出会い、人生をどう変えていくのか楽しみである。