「店長婦人にして…って」 教室の真ん中の席で、 今日提出の数学のプリントを 解きながら、 あたしは言った。 「ふーん」 香苗はつまらなそうに 返事をした。 「ふーんじゃないでしょ! あたしの甘酸っぱい 青春の物語だよ!」 「うんうん」 香苗はプリントに夢中で あたしを見ようとしない。 「馬鹿!」 あたしは香苗の頭に チョップをしてから、 自分のプリントに目をやった。