明日へ架ける花

「本当、ボケるの早過ぎじゃん?」

後ろからもまだ笑いの含んだ声がかかる。ほお杖をついてケラケラ笑ってるアヤノ。笑った口元から覗く彼女自慢の八重歯が何とも嫌みだ。

「暑いからね~。」

彼女はそう言ってほお杖をついたまま外の世界に視線を移す。暑いからボケっとしてたんじゃないよ、ってあたしは自分の成績表を開きながら答えを返したけど、う~んと生返事だけが返ってくるだけで。彼女はこの特等席から見える世界にすでに飲まれているようだ。