明日へ架ける花

「椎名~」

ここから見える大きな木は、手を伸ばせばその青々とした葉に手が届きそうだ。ほんの2、3ヶ月前まではこの青々とした色ではなく、綿菓子みたいな淡いピンク色の花が満開に咲き誇っていたのに…。

「おい、七尾。」

そう、あたしの名前と同じのあの可愛らしい花が…

「桜、呼んでるって」

後ろからペンで背中を突かれほお杖していた左手がその拍子でちょっと滑った。