「あの…、1人なんですけどいいですか?」


モデル男(俺の中だけだけど)の声で、我に返った。
声のトーンからすると、怒ってないようだ。


「あっ。だ、大丈夫です。」


ランチタイムを過ぎた店内は、落ち着きを取り戻していた。
数組のお客さん達が、思い思いの時間を過ごしている。



「こちらの席でよろしいでしょうか?」


俺は2人掛けのテーブル席を案内した。
この店の2人掛け用のテーブルは少し大きい。
ほかの店に行くと、「このテーブル、1人掛けだろ?」って言いたくなるようなテーブルしか置いてない。

ここで大丈夫だよなって、思っていたら…。



「んー、あっちでもいいですか?」



あっちって…。

モデル男が指差したのは、カウンター席の1番端。
隣には、壁一面の大きな窓があり、眩しいくらい太陽の光が差し込んでいる。



俺はモデル男が希望したカウンターの席へと案内し、彼の前に水を置いた。