かすれた声で振り返ると、
そこには達哉君がいた。
『ごめん。』
と、口パクして私の携帯を耳に当てる。
「優斗。」
「俺さ、奈々美が好きだから。」
えっ。
思わず目を丸くしてしまう私。
「いや、本当に。
ずっと黙ってたのは、ごめん。
けど、こんな辛そうな奈々美見てらんないよ。
お前がそんな態度とるなら。
奈々美泣かせるなら。
奪うから。」
電話を切った達哉君は。
さっきとは別人で。
優しい目をしていた。
「奈々美が泣いてるから。
やっぱり優斗だったんだね。」
また、哀しそうに笑う。
この人は、
私が辛い時、絶対助けてくれる。
でも・・・
「達哉君、優斗は私のこと好きじゃないよ・・・?」
っていうより、私の気持ちばれちゃう。
「ん。
でも、バカはわからないから。」
ん?
どういう意味?
首を傾げる私を見て笑った達哉君は。
「ほら、行こう。」
そう言って、歩き出した。
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