「結衣?

誰、それ。

呼び捨てとか、気持ち悪いよお前。」



そう笑っていう萩原君。




また?



また春日さんなの?




「何、お前ら名前で呼び合ってんの?」




ズキン・・・


ズキン・・・






名前で呼ぶのは何で?



佐倉って呼ばれるのが嫌だったから?



私みたいに何か理由があるの?






「あ、そう。


関係ない、ね。」





何故か笑ってこっちを見てる。





「じゃあ、」



グイッ



「きゃっ。」


いきなり腕を引っ張られた。




「俺が奈々美を奪ってもいいの?」



え?

奪う?


しかも、いきなり呼び捨て?




『意味わかんねぇ。』


優斗の声が微かに聞こえた。



ピッ


「はい、いきなり悪かったね。

携帯奪って。」


「あ、いえ。

でもなんで優斗だって、」



「俺の名前呼んでるのが聞こえたから。

廊下、結構響くんだよ。


連絡先知ったって言ってたしね。」





あ、そっか。

名前、呼んでたっけ。




「じゃ。」



その声に反応した時には、稽古場へ歩いて行ってしまっていた。









「あ。」




聞きそびれちゃった。


奪うって意味。