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台本を広げてみたけど、全然頭に入ってこない。







『んなわけねーだろ!

てか、ありえねぇよっ。』




『髪が短い、もっと優しい子がいいっての。』





大丈夫。


嫌いって言われたわけじゃない。










わかってる。





わかってるけど。










やっぱり、辛いや。








「じゃーなー!」



「おー。

お前らも頑張って大道具完成させろよー!」




その声を聞いた私は、慌てて台本に目を向ける。






ガラッーーーーーーーーー・・・




「・・・あ、れ?

奈々美?」





ジャージの長袖を軽く捲くり、エナメルを肩から提げたその姿は。


どう頑張ってもかっこよく見えちゃって。


そんな自分に虚しくなる。





「あ、優斗。
おはよー。

早いねー。」



目を見る事ができない。





平然と返事するふりをした私の手は、


微かに震えていた。




「・・・俺達が、隣の教室にいたの知ってる?」



「え?
いたんだー。

知らなかったぁ!」




「あ、おい!」





早い口調になってしまう自分。

もう、ごまかすことが辛くなってしまって。







私はその場から逃げるように立ち去った。