一瞬ビクッっとした優斗は、一呼吸おいてからゆっくり振り返る。




「・・・・なんだよ。」



「・・・・・・・・・・・あ。」





思わず引き止めちゃった。




何やってんの、私!




慌てて手を離したけど、優斗は私を見たまま。



やばいやばい。

絶対変だったよ、今のは。




「あ、ごめん!

気にしないで練習戻って。」




無理矢理笑ってトンッと背中を押したら、その腕を掴まれた。




「んな顔されて練習戻れるかよ。」






え?






「辛いんだろ?

俺でいいんなら傍にいてやっから。」




椅子に座った優斗は、またあの優しい笑顔でいてくれて。




嬉しくなってしまった。








「ん。」


「ん?」


差し出されたのは、黒の携帯。




「これ、俺の番号。」




え。



連絡先、


交換してくれるの?




「なんかあったら連絡しろ。

話ぐらい聞けっから。」






うっそ。



嬉しい!






慌てて携帯を出した。














「・・・・ありがと。」





せっかく素直な気持ちを伝えたのに、


優斗はわざとらしく驚く。




「お前、熱でもあんのか?」




「もー!
あるわけないでしょ!」



手をグーにして叩くフリをする。



優斗はそれを両手でカバーした。




「はははっ!

わりーわりー。」








そう笑う優斗の頬は少し赤くて。



なんか、くすぐったかった。