「大丈夫ですか?
西塔さん。」
先生より先に声を掛けたのは、神林さんだった。
あの時からは想像できないほどの優しい声で、心配そうに見つめられる。
今、私が彼女に言えば。
私が不利になる。
それをわかってて、彼女は行動をとっている。
むしろ、それを望んでいるのかもしれない。
「大丈夫です。
ありがとうございます。」
だから、私は。
出来る限りの笑顔で答えた。
「・・・・っ。」
神林さんは一瞬顔を強ばらせ、口角を無理矢理上げた。
「神林。」
いつもより低い声。
「優斗?」
私の声には反応せず、神林さんに近寄る。
「人を傷つけるのはやめろ。」
静まり返る教室。
「こいつは関係ないだろ?」
こんなに怒った優斗、初めて見た。
静かなのに、それが余計に怖い。
「急にどうしたの?
あ、西塔さんだからそんなに怒って・・「そういう問題じゃねーだろ!」
優斗が、初めて怒鳴った。
驚いているのは私だけじゃない。
「俺の答えが不満なんだったら、俺に言え。
人を平気で傷つけたりするな。」
静かに。
優しく。
優斗の声が響き渡った。
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