以前よりも、優斗は私に優しくなった。
付き合ってるんじゃないかと噂も出始めた。
優斗のファンクラブに所属している人達は、先生達の判断によって、エキストラやスタッフにまわされている。
だから、今ここにいる熱烈なファンは神林さんだけ。
もちろん、所属していない人の中にも、優斗が好きだっていう人は沢山いると思う。
だけど、ファンクラブは過激な傾向があるから、先生達は気をつけているんだと、
愛から聞いた。
「シンデレラ!
なんですこの床は!!」
「お母様。」
台詞を言いながら床を拭いた時だ。
ギュッ!
「いっ・・・・・・!」
ふくらはぎに激痛が走り、思わず声が漏れる。
神林さんの足が、私の足の上に。
それも、物凄い強さで踏まれていた。
「どうしました!?
西塔さん!」
「・・・・っ」
初めてこんな痛みを体験した。
人に踏まれて、こんなに痛かったことはない。
ヒールのせいだ。
私の場合、本番は裸足だから靴下でやっているけど。
継母はヒールの靴を履くため、練習の時からヒール。
しかも神林さんはピンヒール。
強烈な痛みはこのためだった。
「・・・・大、丈夫です。」
平然を装って立ち上がると、ズキンッと痛みが襲う。
「ーーーーーーっ!!」
ガクンと崩れ座りこんでしまった私に、先生が駆け寄ってきた。
まさか、立てないとは思わなかった。
あまりの痛みに、怒りを覚える余裕もない。
スカートで隠れてたせいで、誰も神林さんがやったとは気付いてないんだろう。
皆、何が起こったのかわからないようだった。
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