「あ・・・・はい。」



怖い。

すぐにそう感じた。



怖がりながらも返事をすれば、

あの時と同じように私を睨む。





「あんた、優斗君の何なの?

彼女?」





優斗に話し掛ける時とはまるで別人。


あまりの気迫に手が震える。






「いや・・・・「そんなわけないよねぇ?

じゃあ何?

何で彼女面してんの?
バカなの?

優斗君は私の物だって自慢したいの?
彼女でもないのに?」





あまりの怖さに声も出ない。


じりじりと迫られている感覚。



怖い。

逃げ出したい。


でも、ここで逃げたら。


私の負けだ。

相手の思うツボ。




皆は帰ってしまっているから、こんな神林さんを見ているのは私だけ。






ガラガラーーーーーー・・・





「あら。


西塔さん・・と、神林さん。

どうしたの?」




先生。


助けて。


目で必死に訴える。






パッと振り返った神林さんは、別人に戻っていて。


「台詞の練習をしていたんです。

今日、二人でできなかったので。

西塔さんに付き合っていただいてました。」






まさに優等生の回答。


この人は、今までこうやって過ごしてきたのだろうか。






「あ、そうなの?

二人共、熱心で感心するわ。」




そうニッコリと笑うと、

『後はよろしくね』と出ていってしまった。