体育座りのまま、膝に顔を埋める。
だめだめ。
もっと、可愛い彼女にならなきゃ。
もっと、優斗にふさわしく。
もっと・・・
「・・・・・・・・・・・・・奈々美。」
「・・・・・・・・・えっ?」
勢いよく顔をあげれば、片手で顔を隠してる人がいる。
「今、」
「もう言わねーぞ。」
「えっ、ちょっと待って!」
「行くぞ。」
慌てて立ち上がり、早足の優斗を追いかける。
「優斗っ!
待って!」
「待たねぇ。」
「もっかい!」
「言うか、あほ。」
「お願い!
もう一回言って!」
「うるせー。」
私、ドキドキしてる。
前より、もっと。
「ちょっ、なんで走ってんのー!」
前より、夢中になってる。
「だー!うっせぇ!
ほら!」
差し出される左手に頬が緩む。
駆け寄ってその手を握れば、
あの優しい笑みが返ってくる。
好き。
私の、
たった一人の王子様。
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