「じゃあ、またね。」
ニコリと、また紳士な笑顔を見せる達哉君。
でも・・・
「あ。
奈々美のバラは、また泣いた時にもらうから。」
そう笑う達哉君は、怖いようで怖くない。
なぜだかわからないけど、悲しげに見えてしまって。
まるでピエロのように真実を隠してるみたいだった。
「・・・・・・ってぇ。」
少し掠れて聞こえた声に反応する私。
私の向かい側に座り込み、壁に寄りかかる。
「え、大丈夫?」
「へーき。」
心配して近寄れば、優斗は顔を歪めながらも強がった。
「・・・ごめん。
私のせいで。」
なんでだろう。
今日は素直になれる。
「んぁ?
あー・・・いんだよ。
俺が泣かせたのは事実みたいだし。
あいつは、さっきの仕返しもあるんだろ。」
ふっと笑う優斗は少し大人っぽくって。
また、ドキッとする。
「さっきの、って?」
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