バシッと音が響く。
なんとも、嫌な音。
目を開ければ、
今度は優斗が壁に当たっていた。
「顔は、ちょっとね。」
怒られちゃうから。なんて笑う。
肩を押さえながら、じっと達哉君を見る優斗。
その目は睨んでいるようで、そうでない気がする。
優斗が今何を思っているのか、よくわからない。
まぁ。今に始まった事ではないんだけど。
優斗なら・・・というより、反射神経の良い人なら避けられるタイミングだったはずなのに。
まるで、甘んじて受けたような。
「あ、今のは奈々美を泣かせた分ね。」
ニッと、なぜか私に言う。
優斗に言う台詞じゃないの?
・・・ていうか。
理由がそれじゃまずいでしょ。
私が勝手に傷ついて、勝手に泣いてたのに。
・・・・・・なのに。
なんで何も言わないの?
優斗?
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