冷静に優斗を見つめる達哉君は、その手を払いのける。
「それはこっちの台詞だよ。」
「あ?」
何、してんの?
「お前が泣かせたんだよ。」
「意味わかんねぇ。」
何で、ここにいるの?
「奈々美に聞けばわかるよ。」
「はぁ?
だから、わけわかんねぇっつーの。」
何で、そんなに怒ってるの?
「奈々美。
俺が泣かせたわけじゃないよな?」
膝に手をかけて、少ししゃがむような体勢になった達哉君は、
私に優しく笑いかけた。
・・・まぁ。
優しくされて余計に泣いちゃったのはあるけど。
元は、優斗だよね。
小さく頷けばクスッと笑い、
「優斗、だよね?」
なんて、確認する。
そんなににっこり笑われたら、嘘をつくこともできなくて。
ちらっと優斗を見てから、おとなしく頷いた。
「え、俺?」
目を丸くする優斗に、達哉君は呆れ笑いを浮かべる。
「優斗。」
優しく笑いながら呼ぶ達哉君の方に向くと、いきなり左手で優斗の胸ぐらを掴んだ。
右手が動くのを見た瞬間に、私の腰が浮く。
優斗!
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