あー。
「・・・タイミング悪いなー。」
出し物がない階だから、人がほとんどいない。
人の目を気にする必要がなくて、ラッキーかも。
皆、バラに夢中だしね。
急に視界がぼやける。
慌てて、下を向いた。
泣くな。
わかってたことじゃん。
優斗に好きな人がいることも。
それが私じゃないってことも。
もう、シンデレラにはなれないってことも。
「馬鹿だなー・・・」
「ほんと、馬鹿だよ。」
自分の膝を見ながら呟いた私に、返ってくる声。
見上げれば、そこには。
「だから。
俺にしとけって。」
紳士な笑顔と。
青い茎のバラ。
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