ん?



何だか雰囲気が変で、周りを見ると。

ポーっと見とれてる人。

優斗と同じことをしてる人。




教室中に、甘い雰囲気が漂っていた。







ただ・・・



「無理、立てない!」

「はっ?

お前、俺らだけなんだぞ?

まともに踊れてねぇの!」





あの2人だけは例外で。


すぐに喧嘩になっちゃう。

この稽古場ではもう日常茶飯事で。



皆が呆れる中、女の子は下を向いた。


「おい。」

「もーいい。

そんなに嫌だったら・・・代わってもらえばいいじゃん。」



あ、泣きそう。

・・・好きなんだろうな、その男の子のことが。


胸が締め付けられる。


わかる。
認めてもらえないと辛いよね。



弱々しくなる彼女の声。

それでも男の子はそんな彼女には気づかずに、きつく怒鳴った。



「お前っ・・・なんでそんな無責任なんだよ!

ふざけ「待って!」


私は怒鳴る男の子を止めて。

そのまま女の子に近寄った。



「座る?」

パイプ椅子を持って来て座らせ、靴と靴下を脱がせた。



「・・・え。」

男の子の声が漏れる。


周りの皆もざわつき始めた。



覚悟はしてたけど、見ていて痛い。



こんなに怪我しているとは皆思わなかったんだろう。



私達とは比べものにならないくらい、痛々しかった。








水で湿らせたタオルを当て、優斗が借りてきてくれた消毒液とコットンで消毒する。




「っ!」

「ごめんね、しみるよね。

もうちょっとだから。」


大きめの絆創膏で傷を覆いながら、私は口を開いた。