「もう一回最初っからやってみて?」

屈託のない笑顔で首を傾げる紳士。

これまで、何人の人がこの笑顔に落とされたんだろ。





「えっ。

私達だけ?」

恥ずかしそうに慌てる女の子。



「俺らもやるよ。」

同じ事を言おうとしていた私は、目を大きく開く。

いいよな?と、目配せする優斗に笑顔で頷き返した。


「では、やってみましょう。

ワンツー、スリー。」

手拍子とカウントでステップを踏み出す私達。




と、また2人が止まった。





「また右足!」


「だから!
お前はさっき左だって「はい、そこまで。」


すかさず止めに入る達哉君。



「きっと何か勘違いしちゃったんだよ、お互い。

そこは右足って覚えて?」



優しく笑って見せた達哉君に対して、その男子は黙って頷いた。




「それでは、もう一度合わせましょう。」



私達は、新しい振りを覚えては踊り、

覚えては踊りと繰り返し行って。

時間ぎりぎりまで踊らされた。





「「ありがとうございました。」」



やっと解散だー。

もうクタクタ・・・



「奈々美、帰ろう。

あー、足痛い。」



私もー。なんて、返事しながら荷物を持つ





何気なく振り返ると、さっき言い合いしていた女の子は、皆が帰る仕度をする中、
一人でステップを踏んでいた