稽古時間に間に合わなくなるから、と。


愛は最後まで離してくれなかった。







「ありがとうございましたー。」




ガヤガヤと騒がしい中、愛に叫ぶ。



「ごめん!

先帰ってて!」


素っ頓狂な声をだす愛、呼び止めようとする達哉君。

優斗までもすり抜けて走りだした。






まだ、いるかな?




そんな不安を覚えながら。










ーーーーーー・・・



「はぁ、・・・っはぁ。」




保健室の前で息を整え、ドアを開ける。







ガラガラーーー・・・





「広瀬美愛先生、いますか?」






意を決して呼んでみると、奥のほうから出てきた。





「はい?」




その声に安心しつつも、鼓動は鳴り止まない。






「どうかしたの?」



心配そうに言う先生に対して、挙動不審になるだけの私。






どうしよう。


勢いで来てしまって、何も考えてなかった。







目を泳がせていると、先生は微笑んで。




「また、恋の悩みね?」



と言って、私を椅子に座らせてくれた。





やっぱりこの先生は凄い、なんて感動していると。




あるものが目に入った。