◇◆Side.健◆◇



「健……1年キャプテンとして
頑張ってくれてありがとな…?」

「あんたは凄い人になるよ!」





あれから月日は流れて
3年生の卒業式。

卒業式を終えた3年生は、最後の自由時間を
部室で過ごしていた。




「ありがとうございます」



時は流れても、先輩と過ごした時間は変わらないわけで
僕と先輩の時間はあれからちっとも絶っていなかった。



普段は感情を表に出さない部長が、
今日ばかりは泣いていた。


これがちまたで言う、“男泣き”ってやつ?





先輩の涙はとてもキレイで、
青く澄みわたった空のようだった。







「ねえ、巧先輩?」

「……ん?」

「俺……先輩みたいになりたいです」




僕はただ真っ直ぐに、
僕の想いを先輩にぶつけた。

僕の中で一番の先輩は、
巧先輩だけだから……。







「健ならなれるよ」



歩美先輩が呟いたのが聞こえた。





「あんた、やっぱり巧に似てるわ!

 だから……大丈夫。
 自信持っていきなよ!」




いつもは絶対に人に何かを言ったりしない歩美先輩が
僕に一番嬉しい言葉をくれた。

僕は………
本当に良い先輩をもちました。





リーグ優勝もできなかったけど……
全国に行くことはできなかったけど……


最高で大好きな先輩








本当にありがとうございました……。





僕は心の中で、そう言った。








先輩の叶えられなかった夢。

僕たちで叶えてみせるから………!






部室の掲示板に貼られた白布に書かれた文字


“全国制覇!!”




僕たちが決めてやるよ…!








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