…―耳がおかしい。

「だから黙ってろって…」

「…ご、ごめん……重いでしょ?」


軽いよ。かなり。
でも僕の口から出た言葉。

「まあな」


その瞬間、僕の頬に汐莉の平手打ちが決まった。


「健なんか知らないっ」


ぷいとそっぽを向く。



「あー。そういうことするんだ?助けたってーのに」

「自分のせいでしょっ!」


汐莉の平手打ちが響いてかなり頬が痛い。







「…なあ汐莉、高校どこ行くの?」

「………朝日ヶ丘。真似しないでよね」



朝日ヶ丘……俺も目指そ。



なんて話してると、汐莉の家に着いた。



お姫様だっこから解放する。

「……ありがと」

汐莉はそう言ってドアに手を掛ける。


汐莉の後ろ姿に、

「俺も朝日ヶ丘目指すから」


と叫ぶ。