そんな風な時間がずっと続けばいいって思ってた。
でも……
現実は少女漫画のように上手くいくはずもなかった
あたしの淡い恋ゴコロはあいつの言葉で
あっさりと切り捨てられたのだった。
たまたま先輩の話題になった時、
なぜか健くんの話になった。
みんな“カッコいい”とか
憧れだよね~とか盛り上がっていたのに……
空気を読まずに放ったあいつの一言。
「でも桜井先輩ってさ……
カノジョ、いるんでしょ?」
正直、頭が真っ白になった。
あんなに近くにあった笑顔も
“絢佳”と呼んでくれる姿も
全てが遠い夢のような気がして
あたしはその場に立ち尽くした。
カノジョ、
いたんだ………
知らなかったよ、あたし……
健くんの全てを知ってるつもりでいたのは心だけで、
実際は何もわかっていなかった。
あたしが一番健くんの近くにいて
あたしが一番健くんを知ってて
あたしにしか見せない健くんがいて
全部……全部、あたしだけの宝物だったのに
けれど、健くんはあたし以外の女の子の
一番大切な人になった。
健くんの姿が急にぼやけて見えなくなった。
健くん…………
あたしね、健くんの“一番”になりたかったよ…
でも健くんは他に大切な人がいるんだよね?
それは仕方がないこと。
あたしが諦めなくちゃいけないこと。
だけどさ………?
まだ想い続けていてもいいかな?
健くんは、あたしの全てだったから……。
末永くお幸せに……
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