あれから月日が流れに流れ……
今日は中学の入学式。
「おかーさんっ!!」
あたしの人一倍響く声が家中に響き渡った。
我ながら、自分の声の響きに驚く程。
「はいはい、今行くから」
「もう8時だよ!」
真新しい制服に身を包んで、あたしの心はウキウキ気分。
やっと汐莉ちゃんと健くんのいる中学校に行けるんだ、そんな思いが込み上げてくる。
汐莉ちゃんと健くんとは
2つ歳が離れている。
だから、あたしが13歳になる今年は二人は15歳。
つまり受験生である。
「絢佳、なにボーッとしてるのよ?
早く行くわよ」
「あっ…いってきます」
いつの間にか、さっきと立場が逆転していた。
お母さんが遅かったくせに……
心の中でつぶやきながら歩く。
「ねぇ…お母さん?」
「なぁに?」
“先輩の彼女ってなれるかな?”
という質問を押し殺して…
「出逢い……恵まれるかな?」
「きっといい出逢いがあるわよ^^」
「そうだよねっ!!」
先輩……
あたしは健くんが好きだった。
この気持ちに気付いたのは、汐莉ちゃんが健くんを好きってあたしに話してくれた時。
いつもはクールで…
だけどふとした瞬間優しくて……
可愛かったりカッコ良かったり
そんな健くんに気付けば惹かれていた。
でもこんな気持ちは届かないんだ…
だって健くんは汐莉ちゃんが好きだから……
あたしが入れるスペースなんて無かったから……
だけど諦められないんだ。
どうしても健くんが好きだから……
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