◇◆Side.健◆◇
“浮気しないよ?”
そう言った汐莉の顔が浮かぶ。
嘘をついてるようには見えなかったけれど…
信じたいはずだけれど…
汐莉を信じきれていない自分がいた。
あの男……
名前、なんだったかな?
五十嵐…なんとか
僕より顔は随分良くて、
成績も結構いいと聞いた。
そんなやつが汐莉と一緒にいたなんて
正気でいられるわけがない。
汐莉………
僕は信じていいんだよな?
バコッ!!
考え事をしていたら頭に衝撃が走った。
「…ッ」
あまりの痛さに声も出ない
「健っ、ボーッとしてんな!」
「は、はいっ!すみませんっ」
部長に睨まれて、僕は手から転がり落ちたボールを拾い、シュートを打つ。
まだ足の複雑骨折は完治しておらず、
僕はまだ練習に参加できていないままだった。
ゴールに向かって
ただがむしゃらにボールをぶつけ続ける。
―…ああー!俺らしくないっ!!
汐莉はそんな軽い人じゃないって信じてるからこそ
少しだけ心配になるんだ。
なあ、汐莉……?
僕には汐莉しかいないんだよ?
だから…汐莉も僕だけを見ろよ…
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