「…桜井くんっ」
女の子の少し高めの声が
あたしの愛する人の名を呼ぶ。
お願い、邪魔しないで……?
あたしの健をとらないで…
「あたし…桜井くんが………好きなの」
やめてよ……
健が…あたしの前からいなくなっちゃう
瞳の奥に溜まった涙が今にも溢れそうになる。
すると、健はあたしの手を強く握って
女の子にこう言った。
「…俺には汐莉しか見えないから」
…ドキン
その一言はとても力強くて、
すごく説得力があった。
「ごめんなさいっ…」
女の子は涙を一粒流してから教室を出ていった。
その後ろ姿が、どうにも切なくて
少し罪悪感が募った。
残った五十嵐賢斗はバツが悪そうに
髪の毛をクシャクシャとしてから教室を出ていった。
パタン…
ドアが閉まる音がした瞬間、
健はあたしにキスをくれた。
「…ん………」
長く長く、優しく切ないキス
健は唇を離して、あたしの乱れた服を直した。
切ない瞳をしてあたしを見つめる
そして言った。
「俺以外のヤツには触らせんなよ…?」
ごめん、の言葉が自然とこぼれた。
本当に健に申し訳なくて、目を合わせることができなかった。
「浮気すんな、ばぁーか」
健の細く長い指があたしの頬をつつく。
最近、お肉がついてきた頬がプニプニする。
「浮気…しないよっ」
「今回はお互い様だからなっ?」
お互い様、かあ…
ごめんね…健
「まっ、俺はモテモテだからな~^^笑」
自信たっぷりな笑顔がイタズラにあたしの笑顔を誘い出す。
そして二人でクスッと笑った
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