時も流れて秋の終わり頃。
あちらこちらで
そろそろ冬の足音が聞こえだす


緑色が赤色に変わって、はらはらと枝から離れていく。
それと同じように、風が冷たくなってきて雨が小さな雪に変わり、はらはらと地面に降る。









そんな中、あたしの不運は
ある人の一言から始まった――



「俺、神崎のこと……」



部活前の空き時間。
教室に呼び出された結果…―




「…好きだ。付き合…「ごめん」




相手の話を遮って言う。

相手は、大きな瞳を更に大きくして
少しだけ切ない顔をした。



他の人に比べたら、
顔のパーツは揃っていていい感じに散らばっていた。

これが世間でいう、イケメンってやつ?




あたしはイケメンに告白されたって、
気持ちが揺らぐような女じゃない


ましてや、イケメンというだけで名前も知らない相手なんて十分。




だけど、せめて名前くらいは知っておこうと思って、名前は?と訊ねた。



目の前の相手は、
「五十嵐 賢斗(イガラシ ケント)」と名乗った。



――なるほど、顔がイケメンだと
名前もイケメンなんだな…
と勝手に思っていた。




教室から出ようとして、ドアに手をかけた瞬間


「なあ………?」

と呼び止められた。




何、と振り返ると、
…すぐ前に五十嵐賢斗の顔があった。

それだけならまだ大丈夫なものの、
あたしの手なんかいい感じに繋がれて…

小さな手は、五十嵐賢斗の掌に
すっぽりと納まっていた。




「ちょっ……近い」

「……ダメ?」



チュ………っ



断固として否定しようとしたら、
あたしの唇に柔らかい感触がした。








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