僕はバスケのコートに立っていた。
「精一杯やってこい」
顧問の広瀬先生が言う。
大きく頷いて歩き出す。
「俺にしかできない技、
見せてやるよ…!!」
呟いて走り出す。
会場をあっと言わせてやる…
なんて思いながらプレーをする。
僕のマークマンにパスが回ってきた。
「おお!!」
ボールカットして速攻。
会場が驚きと歓喜に溢れかえる。
そのまま、レイアップ…
と見せかけてダンクする。
気持ちいい…。
この会場が一つになる瞬間も、
僕を見る目が変わる瞬間も…
その後も、速攻5本、3Pシュート2本を決めて16得点。
アシストパスを3本出して、味方の点数に6得点貢献した。
ビビーッ
試合終了……!!
結果は…
79-53で勝利!!
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「…ける……健…!!」
僕を呼ぶ声が聞こえた。
瞳を静かに開ける。
「健………ごめん…ごめんね…」
すると、そこには…
涙を流して謝り続ける汐莉と
僕の家族がいた。
そして、ドアから医者が入ってきた。
体のいろいろなところが痛い。
体を見てみると、ギブスやら包帯やらがたくさん付けられていた。
「目覚めましたか!
これで大丈夫ですよ」
医者は言った。
どこが大丈夫なんだよ…
体ケガだらけなんだけど…?
能天気な医者に怒りを覚えた。
何があったんだっけ?
思い出せない…
というか、覚えていない。
なんだろう……?
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