◇◆Side.健◆◇
「…もー……」
汐莉が振り返る。
涙をたくさん溜めた目で僕を見つめる。
「なんで泣いてんだよ…?」
「…健が教えてくれないからぁ……」
僕は汐莉の涙を拭くことしかできなかった。
汐莉の言う通り、僕は隠し事をしてる。
だけど……言えないんだ。
これは自分で解決しなきゃいけないと思うから……
「ごめん。帰ろ?」
「………うん」
歩き出す影。
「キャッ…」
すると、汐莉の影が消えた。
…また転んでんのか?
振り返ると、思った通り汐莉が横断歩道のところで転んでいた。
「まったく……ドジだな?」
「だって……」
お、今日はパンツ見えてない。笑
汐莉もジャージ履く気になったか?
なんて妄想しながら、汐莉に手を差し出す。
その瞬間………
キキーッ
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視界が真っ白になった。
遠くからかすかに聞こえるのは僕の名前を呼ぶ声。
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