月日は流れに流れ……
入学式から3ヶ月後。
―――7月
「…これからユニフォームを渡す
男子からいくな?」
バスケ部顧問の広瀬先生が言う。
……というのは7月の中旬に行われる、インターハイのメンバーが出されるということ。
あたしはマネージャーだから貰えるはずはないけど、健が気になる。
「#(ナンバー)4、眞野巧
#5、妹尾涼太……」
順番に名前が呼ばれていく。
バスケ部の男子は、3年生が12人で2年生が2人、1年生が9人。
ユニフォームを貰えるのは15人。
今回は、1年生が一人しか貰えない…
だから健が貰えるかわからない。
あたしが貰う訳じゃないのに、ドキドキしてきた。
健の方を見てみると、緊張してこわばっていた。
頑張れ…健…!!
心の中で願掛けをする。
……ドキンドキン
「#18、桜井健」
「はい!!」
涙が頬を伝った。
ユニフォームを受け取った健があたしを見て、ニコっと笑った。
すごい……
感動して何も言えなかった。
小学校の時からバスケ部で毎日毎日バスケバスケ……。
でも、そんな健の姿が大好きだった。
チビだからドリブルが速くなるんだー、って言ってずっとドリブルしながら歩いてた姿。
ジャンプ力鍛えてリバウンド王になるんだー、って言ってジャンプばかりしていた姿。
最初はバカだな~って思いながら見てたのに、いつの間にか健の後ろ姿を目で追ってる自分がいた。
このユニフォームは、健の努力の証。
あたしが見てきた健の全て。
心から拍手をした……。
だけど、その全てをあたしが壊してしまうなんてこの時は思いもしなかった。
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