「なあ、健……?」
「ん?」
「四人ちゃんと受かってるかな?」
脩大の言葉に少しドキドキする。
明日にならないとわからない。
けど……
「受かってるといいな?」
「…あーもう!!
俺さっきからこればっか…」
「緊張するよな……」
「おう」
「帰るか?」
「んだな」
帰る準備をする僕と脩大。
緊張がピークで教室にいる気なんかしなかった。
すると、そこに汐莉と神藤が来た。
「脩大、もう帰るの?」
「おう」
「じゃあ…あたしも帰る」
脩大が神藤と話しながら帰ってしまった。
「健、帰る?」
「汐莉は?」
「あたしは…
最後に落書きしてから帰る」
落書き?
どこにすんだ?
「ほら、健も行くよ!!」
汐莉に手を引かれて連れられる。
「汐莉、どこに行くんだよ?」
「ついてくればわかるよっ」
訊ねてみてもそれだけ。
仕方ない、と観念した僕は黙って汐莉についていくことにした。
着いた場所は……
「……体育館?」
「思い出、いっぱい詰まってるでしょ?」
「まあな…」
体育館は俺の第二の居場所。
バスケ部のキャプテンとして過ごしてきた場所。
汐莉にとっても大切な場所のはず。
「…ここ!!」
汐莉が指差す所を見ると、
歴代のキャプテンの名前とメッセージが書かれている部分があった。
「あたしも健もキャプテンだから……
書こっかなあって?」
「ああ、そういうこと」
汐莉はペンケースから油性ペンを取り出して、片方を俺に渡した。
「…書こ?」
「おう」
中学最後の思い出に落書き……。
汐莉らしいじゃん?
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