可菜の相手をしていると…


「汐莉ちゃん、ちょっといい?」


あたしの名前を呼ばれた。
振り返ると……逞くんがいた。



いつの間にか、可菜が脩大くんの方に行っちゃっててあたしは逞と二人だった。




「逞くん…?な、何?」

「話あるからちょっと来て?」





仕方なく逞くんの後につていく。

着いたのは、屋上。




青空がとても綺麗だった。



「で……話って?」

あたしに背を向ける逞くん。
そして、話し出した。




「卒業するまでに伝えたくて……。

 なんか知らねぇけど、俺さ……?








 お前のこと好きみてぇだわ」













「…逞くん?冗談言わないでよ……」

「本気だよ?」

「…………え」

「俺と付き合わない?」





信じられなかった。

逞くんがあたしのこと、そうやって思ってたなんて。



ずっと友達だと思ってたよ……?







「…………!!」

逞くんがあたしを壁に押し付けた。




「俺のものになれよ」

「やめてっ……!!」




あたしがそう言うと逞くんの顔が近付いてくる。


あたしは怖くなって目を瞑った。





……怖い。怖い。






誰か来て……!!




バシッ





逞くんの頬を誰かの手が殴った。

衝撃で倒れ込む逞くん。





目をそっと開けると…
目の前には健がいた。



「……健っ…!!」

思わず、健の背中に飛び付いた。




「いってぇ……」

「逞……お前、そんなやつだったんだな?

 汐莉、行こ」



健が逞くんにいい放って屋上から出る。




「…健………?」

健の名前を呼んだ。



「……汐莉…」


そう言って健はあたしを抱き締めた。




「怖かったよな……?」









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