物を整理していると、たくさんの思い出が出てきた。

日向の育児日記やアルバム…僕の昔の手帳。

たくさん見つけた。

すると突然、






………パサッ





と何かが落ちる音がした。

見ると、ベビーピンクの封筒が所在なげに転がっている。



そっと拾い上げて宛名を確認すると

“桜井 健さま”

と汐莉の字で書かれていた。





「…汐莉?」


裏に返すと、確かに“神崎 汐莉”と書いてあった。

そっと便箋を取り出して開く。









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*健へ



この手紙を読んでいる今、健は何をしてるのかな?

ちゃんと笑ってるかな?
毎日は楽しいのかな?



健の笑顔の傍に、同じく笑顔のあたしでいたいと願うけれど、どうにもあたしにはできないようです。
本当にごめんなさい


きっと健は、あたしとは違う誰かと、楽しい日々を送っていることだろうとは思います。



本当は、あたしが健の傍にいるはずだったのに。

お医者さんの話によると、あたしにはもう心臓移植しか残された道はないそうです。

だから……あたしは移植手術を受けて来ることになりました。