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◇◆Side.健◆◇


―――3年後





「日向、朝だぞ」


カーテンを開けて、朝の光をたくさん浴びる。
とても眩しかった。

それは新しい春の訪れを示しているようで、僕は3年前を思い出していた。





あれから3人でここまで生きてきた。

汐莉は月に1回、心臓の定期検診のために一週間ほど家を空けることになっている。

でもそれだけで汐莉と一緒にいられるなら、日向だって僕だって我慢できるから。






一人で考えてニヤついていたら、視界いっぱいに日向の優しい笑顔が広がった。


「パパ?どうしたの」

優しい問い掛けに僕はなんでもないよ、と笑って返す。
日向をリビングのテーブルに誘導して座らせると、日向は笑った。



「今日から幼稚園だけど、日向頑張ってこれるか?」

「うん!日向、がんばる」

「よしよし。いい子だ」




ついこの間生まれたはずの日向は、あっという間に歩くようになって……
ママ、パパと発音できるようになり……
今ではもう幼稚園に通う歳になった。