自然と繋がる手に、胸いっぱいの愛を受け止めながら僕は言った。

「バンド……頑張れよ」



僕にしては勇気を出したつもり。
恥ずかしいから言葉足らずになって、伝わってなかったら切なくなるけど。

だけど、僕の気持ちを全部つめた一言なんだ。




「うん。ちゃんと聴いててね?寝ちゃダメだよ」

「寝るわけねーよ」


汐莉の歌だから、とはさすがに言えなかった。

僕の言葉にはにかむ汐莉を見て、不思議と心が開いていくのが自分でもわかる。



だから……



「しーおり?」

「ん?」

「愛してるよ」





こんな恥ずかしすぎる愛の言葉だって、いとも簡単に言えちゃうんだろうな。

僕の幼なじみが、
僕の恋人が、
僕の婚約者が。

汐莉で良かったと、今更になって実感する。


汐莉なら、汐莉となら。
これから先どんなことがあったって乗り越えていける気がする。






「健、急に恥ずかしいこと言わないでよ…あたしまで恥ずかしくな……」


顔を真っ赤にして照れる汐莉をこの腕に抱き留めた。



「愛してるよ。まだ足りない?」

「……バカ健」




汐莉に触れてしまったら、心臓が止まるかもと本気で思った。

好き。好き。
好きすぎて、もうどうしようもないんだ。


やばいな、僕。
最っ高に汐莉しか見えない。

もうどうにでもなれ。