「まぁ……仲良くやろうよ」
仏頂面をしてがっくり肩を落としているあたしに、一人の女の子が手を差し延べてくれた。
その子の他に、男の子が二人と女の子が一人いた。
「そう……だね」
まだ全然納得してないけど!
これが現実だと思いたくない。
みんな仕方なく、各々の配置についた。
ドラム…キーボード…ギター…ベース。
本格的なバンドだや……。
「フェスティバルまであと2週間だし、頑張ろ」
みんなが気合いを入れ直している間、あたしは渡された楽譜を見つめた。
そこには有名なバンドの曲で、あたしも大好きな曲。
ふと気付いた。
1曲だけじゃ物足りない。
「ねぇ。2曲歌っちゃダメかな」
あたしの言葉にみんな、思い思いの反応を零す。
「俺、編曲ならできるよ?」
「あっ…あたしも詞に曲つけるなら……」
恐る恐る、といった方がいいような小さな声で二人が名乗り出てくれた。
「ほんとっ?!
じゃあ…みんなで一つの曲作らない?」
「「うん、賛成」」
突拍子のないアイデアにもみんな笑って受け入れてくれた。
あたしも思わず笑顔になる。
話し合いで“切ない青春”というのがテーマとして掲げられた。
曲付けがキーボード担当の佐々木さん。
編曲がギター担当の瀬川くん。
そして詞がボーカル担当のあたし。
他の二人は補佐や楽器アレンジなどにまわる。
こうして、3-Bバンドが動きはじめた。
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