「今日なんだか笑顔だね、なんか良いことあったのか?」

あたしの担当医の先生が首を傾げて聞いた。



だって……

「…だってあと2日で退院できるもん!」


先生は呆れたように苦笑いをしてからあたしを見つめた。




「本当に汐莉は病院嫌いだな」

「病院好きな人なんていないでしょ」



先生は心電図を取り付けながら、あたしの言葉を笑って聞いていた。

この先生は男だけど、あたしのことを分かってくれるし、分かろうとしてくれる。

お兄ちゃんみたいな存在。




「よし、今日一日はこれ付けて自由に動き回っていいぞ。
明日ちゃんと結果出て親御さんにお話するからお母さんに連絡しといてな」

「わかった」

「あっ!あんまり走ったりすんなよー」



ベッドから起き上がって歩き出すあたしに、念を押すように先生は言った。

「はいはい」




曖昧に返事をして、あたしは電話ボックスに向かった。