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◇◆Side.汐莉◆◇



「汐莉ちゃん、検査の時間よ」

「はーい」




看護師のお姉さんにわざと満面の笑みで笑ってみせる。
そうしたら、辛い検査も頑張れる気がするんだ。

いってくるね、と小さく病室に呟いてあたしは戸を閉めた。


あたしの家族の要望で、大部屋からあたしは一人の小部屋に移された。

正直言うと寂しい。
誰も話す相手がいないから、寂しくて仕方ない。




だけどそんな生活もあと2日―…。

あと2日経ったらまた自分の家に帰れる、健の傍に戻れる。



「…あと2日だよ、あたし」


と、毎日呪文のように日にちを数えて、毎日退院の日を楽しみにした。





「ねぇ看護師さん。
今日の検査終わったら…あたし、退院できる?」

その答えなんて耳にタコが出来るほど聞いた。
だけど、もう一回聞きたかった。


「大丈夫よ、きっと」




そう答えて微笑む看護師の顔だって、夢に出てくるくらい見た。

早くお家に帰ろう。
検査を頑張って、まずい病院食を食べて、たくさん勉強して。

早くお家に帰ろう。