◇◆Side.健◆◇
「まずは何から行くー?」
「そうだな……よし!ジェットコースターから行こう!」
「「ええー?!」」
驚くみんなの顔を見て、僕は静かに笑った。
いや、フツーは遊園地に来たらまずジェットコースターだろ?
嫌がる汐莉の手を引いて可愛らしい小さい子向けのジェットコースターに向かった。
「「なんだよ(笑)」」
脩大と可菜ちゃんからの厳しいツッコミに
「当たり前だろ、でかいのは苦手だからな」
と返して再び歩き出す。
クスッと小さな笑いが隣から聞こえて、僕は汐莉に向き直る。
「……健、ありがと」
照れて笑いながら聴こえた言葉は僕の中で何度も反響しながら、まだ僕の中にある。
別に汐莉のためじゃねぇよと言ったそばから顔が赤照っていくのがわかる。
ここが外で良かった。
たくさんの人に赤く染まる僕の顔を隠してもらえて、汐莉には見られずにすむから。
人混みのせいで脩大達の姿が見えなくなってることに気づいたけど、あえて汐莉には言わなかった。
だって今は…今だけは。
二人きりでいたかったから。
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