あたしが言いたげな言葉を悟ったのか、
「交代すんのか?
俺と蓮ならまだ大丈夫だぞ?
野村に対抗するなら蓮は必要だろ」
と笑顔で言った。
「将生と裕也たちは休ませてやってくれるか?」
「うん、わかった」
「よろしくな」
あたしはどうしていいかわからなかった。
明らかに健だって疲れてる。
蓮くんだってそのはず。
でも大丈夫だって言葉には、妙に説得力があったから。
「……健」
「ん?」
「無理……しないでね」
「わかってるって。ありがとな?」
健はあたしの頭をくしゃくしゃってして、笑った。
途端に、涙が溢れそうになってあたしは急いで先生のところに走った。
「健と蓮くんを残して、他3人は交代してください」
あたしの言葉に先生は静かに、了解の合図として頷いた。
もうすぐ直に、野村隆久が出てくる。
ここからが本当の戦い。
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