凌也ミラクルのあとにも蓮くん、将生くん、裕也くんと次々と得点を重ねていく。
2点……2点……3点……………
序盤から飛ばしすぎた相手チームは、明らかにもう表情にバテが浮かび始めている。
この調子だよ!
落ち着いて…落ち着いて。
頑張れっ!!
あっという間に東栄高校との差は開いていく。
このまま引き離そう……!
ピピーッ
第1クォーターの終了をつげる笛が鳴った。
28‐3
で朝日ヶ丘が明らかに優勢にある。
スタメンの5人が戻ってきて、ベンチに座った。
あたしは健にタオルを手渡した
すると、健はあたしの腕を引っ張って言った。
「…汐莉、試合見てて思ったことあるか?」
「…えっと……」
“思ったこと”といえば…
「相手なんだけど、異常に疲れてるように見えるの。
全国に来るくらいのチームならもっと体力があってもいいはずだよね……
健はどう?」
「ああ……確かに。
何かを守ってる気がすんだ」
何かを…守る……?
えっと……えっと……
あっ!
もしかして……
「ちょっと待ってて」
スコアーの束から、東栄高校に関する資料を取り出す。
長身……体力……最高水準の技術………
野村隆久…?
これだ……!!
「みんなっ!!」
あたしが叫ぶと、スタメン5人は特に注目した。
「野村隆久よ!
日本の高校生一番の長身で最高水準の技術をもつ人。
たしか……スタメンには出てない。
ということは、体力を温存してる。
みんな、リードしてるからといって油断しないで!
こいつが出てきたら太刀打ちできなくなる……
その前にとにかく得点を稼いで!!
みんなならできる!!」
そうだ。
野村隆久を忘れていたんだ……
全県大会の時に後半から登場して、一人で57点を稼いだ人……。
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