だんだん会場全体が朝日ヶ丘コールに変わってきて盛り上がってきた
あれほど強いと騒がれた東海高校が、
弱小の無名チームに大差で負けてるなんて考えられない。
いや、信じられない
僕自身、未だにリードしているか信じきれていないくらいだ
心地良い声援
心地良いこの疲れ
心地良い汗
全国大会のこの場で、プレイできる今が
最高に気持ちいい瞬間
「……健っ!」
将生からパスがまわってきて、僕はスリーを狙った。
通り過ぎる風を肌に感じて目を閉じる。
音が……聞こえる。
バスケの音が。
ドンドンッ…キュッ
走ったり止まったり
せわしなく流れる時の中で僕は必死にボールの音を探した。
――パシュッ
僕の腕が放ったボールは弧を描いて、リングに吸い込まれるようにして入った
「ワァァァっ…!!」
一瞬の間があってから、会場は再びどよめいて
完全に朝日ヶ丘コールへと変わった。
僕らは真っ直ぐにボールを追いかけた
肌に当たる風を感じて、その度に気持ち良くなる。
――ああ、俺は“ここ”に立ってるんだ…
チームメイトに、
教えてくれた広瀬先生に、
そして……汐莉に
優しく見守られながら僕は走ってる。
それはなんともいえない心地よさで、ただただ体が震えた。
ピピーッ!!
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