「…広瀬先生!」
声が降ってきたと思ったら、広瀬先生だった。
僕もみんなも驚いて開いた口が塞がらない状態だ。
普段なら滅多に顔を出さない先生がアドバイスなんて……
有り難すぎて困る…。
「その前におまえら。
ぼーっとしてないでアップした方がいいんじゃないか?」
「「はっ、はい!」」
そうだ。試合は次だ。
相手の偵察は試合に任せて、僕たちは試合に専念しなきゃ……。
部員は第二体育館でアップをしに行った。
「汐莉、あとは任せたぞ?」
「オッケー」
汐莉の笑顔に見送られ、僕も第二体育館に向かった。
「あさひーっ!ファイオー!」
第二体育館に響く掛け声。
……気持ちいい
爽やかに流れるこの瞬間がたまらなく好きだ。
試合前の程よい緊張感も、僕の気持ちをMAXにさせる。
今日はなにがなんでも勝ちたい。
今日の一戦で一日が僕のバスケが終わるなんて有り得ない。
全国のレベルがどれくらいかなんて、腐るほど見てきたから知ってる。
クソ強くて
そこらのチームじゃ歯がたたない。
でも、僕らは違う。
僕らならやれる。
「朝日ヶ丘高校。行くよっ!」
汐莉が呼びに来て、僕らは円陣を組んだ。
「朝日ヶ丘ーっ!!!ファイオォー!!!」
部員全員で大地を蹴りつけて、コートに向かった。
僕らなら、やれる。
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