ニヤッと笑う悪魔な健がいた。



「………っ…?!?!」

あたしは驚いてベンチからずり落ち、口をパクパクさせてる始末。





「バーカ。キスくらいで驚くなよ…」

「だって、健がっ……!」

「ん?俺のせいにすんの?」



ででででもっ……!!
健がしてきたんじゃ……。


「目つぶってヤラシイ顔してたのどっちだよ」





うわー……。
あたし今思いっきり見下された気がするんだけど……。

いや、確実に見下された。



健ごときに?
ありえない………






「……してないよっ!ただ……っ」

「ただ?」

「………ぅ゙……。
ただ、音聴いてただけっ!」

「へえー?」




変人を見るような目であたしを見る健。

ほんとやめてよね……


あたし見られるの苦手なんだからさ…?






「ふっ……俺以外のヤツの前でそんな顔すんなよ?」

「……え、なんで?」




いや、しないけど……。
なんでそんなこと言うの?

首を傾け、目を丸くするあたしに、健は俯きがちに言った。





「………惚れる///」

健の言葉にあたしたちは相互に顔を赤らめた。




……健のバカ。
そんなこと言われたら寝れないじゃん。

余計恥ずかしくなるじゃん。










「……なんでそんなこと言うの?
……はずかしいじゃん…」

「それは……」





健は油断したあたしの肩に手をかけて、今度は真剣な顔をした。

あたしは息をすることも忘れて、健の顔を見つめた。







それから健は、あたしの耳元で


“汐莉が大事だから”


って呟いた。