「ねぇ、あたしに優勝カップちょうだいよ?」
「…お楽しみに」
ニヤッとした、いたずらっ子みたいな笑顔であたしを見る健。
そんなところに何故かキュンってして、あたしは目を逸らした。
ドキドキドキドキ……
鳴り止まない、心臓の鼓動。
久しぶりに間近で見た、健の笑顔。
自分でも驚くくらい反応してる。
心が、カラダが。
健のことが好きって言ってる。
あれ、あたしいつの間にこんなに健のこと好きになってたんだろ?
仕草とか笑顔とか。
健の全てに鼓動がうるさくなる。
それが知られたくなくてあたしは必死で隠してるの、健にはバレてる…?
「何いまさら照れてんの?」
「……照れてないよっ」
こうやって強がってみたり。
「嘘つけ。顔、真っ赤」
「……へ?!」
あたしの気持ちは顔に出るみたいです。あは。
あたしの強がりよりも、健の方が強くて。
あたしの笑顔よりも、健の方が素敵で。
あたしの言葉よりも、健の方が優しくて。
あたしよりも……
何もかもが上な健。
「…バスケしてくるな?」
「うん」
そう言って、ボールを持ってゴールに向かう。
ここは公園の端っこ。
備え付けのバスケットゴールがあって、あたしと健のお気に入りの場所。
あたしは目を閉じて、耳に神経を集中させた。
ドン…ドン
パシュッ
こんな風に、バスケには音がある。
――……健の音だ。
小さい頃から聞いてきた音だから、健と他の人との区別は完璧にできる。
健の音は、力強くて……でも優しくて。
心臓の奥に響いて来るような音。
ちゅっ
あれ?今違う音が聞こえた気が……
そっと目を開けると、
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