「……ああ。汐莉、あのな…」

健の言葉を遮って、お父さんが話しはじめた。




「……お母さんとはな、汐莉と聖斗が3才の時に離婚したんだ。
その後すぐ、お母さんは聖斗を残して死んでいった。

一人になった聖斗をお父さんが引き取ろうとしたらな、お母さんの親に反対されてな。


それが、15年前のことなんだ。



お母さんの親に引き取られた聖斗は、本当は俺のところに来たかったらしいんだ。
でも、許してもらえなくて何回も家出を繰り返していたらしい。


だけど、やっとそれも落ち着いて正式に俺が引き取ることになった矢先……あんなことが……」





お父さんは、そう言うと泣き崩れてしまった。
健がそれを支えてあたしに


「聖斗さんは事故で…朝日ヶ丘高校の前で亡くなってた。

……俺がたまたま学校の前を通った時、見つけたんだ……。」

「そんな………」






あたしがさっき見たのはもしかして……。

聖斗の幽霊なの……?







「……嘘だ。
だって…あたし会ったもん……さっきまで一緒に話してたもん……」



あたしの頭は真っ白で、疑問符しか浮かばない

ドウシテ?
ナンデ?


あたし、話してたじゃん……。





スパルタ講座受けたじゃん……
一緒にミサンガ作ったじゃん……








「汐莉、よく聞いて」


健の言葉なんか耳に入らなくて




「なんで……?なんで?あたし……あたし…」


ずっと繰り返していた。







「…莉……汐莉!」

健の荒い声にあたしは一瞬ビクッとして健を見つめた。