「うん」
大きく笑顔で頷く里実。
それくらい知っとけよって思うけど、なんか憎めないその笑顔。
里実はやっぱり憎めないヤツだと思う。
「でさ、でさ!コレで応援グッズ作んない?ってわけ」
笑顔で糸の塊をあたしに渡す里実。
…………はい?
今なんとおっしゃいました?
家庭科の成績が最低最悪なあたしに、物を作れと?
「冗談は顔だけにしてよね」
困るよ、本当。
あたしそういうの苦手なんだからさ……?
苦手なのってあんまり見せたくないでしょ、普通ね。
「顔だけって……ひっど!
応援グッズっていっても、ミサンガなんだけど」
あとメガホン買ってー
なんて悠長に計画を練る里実に、あたしはかなーり追いていかれたようで。
反論する暇もなく、話は成立した……らしい。
ミサンガ作るなんてさらりと言ってのけるあたり、里実の家庭科の成績は良いんだろうなと思った。
あたしにはそんなこと、ひゃっぺん死んでもできないわ……。
「ねえ汐莉、聞いてる?」
「はっ……はいい…何でしょうか」
「……汐莉、もしかして…」
ギクッ
里実は親友だとはいえ、気づかれたくない一番の秘密だったのにぃ~……!
こんなところでバレるなんて。
「…もうミサンガ作ってあったりするの……?」
ドンガラガッシャーン!
あーあ、八百屋のオジサンひっくり返っちゃった。
………里実。
君のニックネームが決まったよ。
“超ウルトラド級おバカ天然記念物”
ありがたく受け取りたまえ。
「…あたしにそんなことが出来るわけな………っ
…いや、出来る出来る」
「えっ?!嘘!
もう作ってくれてたなんて……グスッ」
え?え?Why?
何があった、どうした自分。
あたし、ミサンガなんか作ってないしぃ~!!(泣)
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